不動産価格の謎

不動産価格の種類

一般の方が不動産の取り扱いで最も悩むのが、価格についてではないでしょうか。高額な取扱額にも関わらず、適正な価格が解りづらいことが原因です。

不動産は工業製品などと異なり、同じものが存在しません。多少は似ているものもありますが、個別の条件は異なり唯一無二のものです。

例えば、方位が異なるだけでも価格は異なります。また、階数でも価格に差が出ることは、一般消費者においても多く理解されていることです。

しかし、不動産の価格には「○○価格」という表現が多く存在するため、一般消費者が困惑することがあります。それらが、

(1)固定資産税価格
(2)相続税路線価格
(3)公示価格
(4)基準価格
(5)市場価格

という表現です。これらの価格の意味を理解していないと、不動産を取り扱うときの売主自身の指針にならず、迷いの原因になりますので、ここで概要的に説明致します。(図2参照)

不動産価格のご説明

(1)固定資産税価格

固定資産税を賦課するための基準となる評価額。固定資産税は、市町村が毎年1月1日現在の固定資産(土地・建物等)の所有者に対して、同評価額をもとに課税する。図2に記載した公示価格の70%を基準に決定されています。

(2)相続税路線価格

国税庁が毎年7月初旬に公表する価格で、宅地が面する道路(路線)に設定された標準的な価格(路線価)を基準に評価する方法。図2に記載した公示価格の80%を基準に決定されています。

(3)公示価格

プライバシーや守秘義務に関する観念から、土地取引価格情報の公開が進まず、不動産鑑定評価の手法によって求められた、適正な価格を公示して指標とする制度。公共事業用地の取得価格(補償金)算定基準となる。毎年一回標準的な土地についての正常な価格を一般の方々に提示するもの。と位置付けられている。国が公表しています。

(4)基準価格

上記の公示価格と似ているが、都道府県が毎年9月に公表する地価で、公示地価でいうところの標準地に該当する基準値を、都道府県が別途定めている。(公示地価と重複する地点あり)公示地価の公示区域外において、地価を表示している点が、基準地価の重要な指標となります。

(5)市場価格

実際の取引が成立する価格。売主買主との間で、需要と供給が釣り合う価格をいい、不動産の広告等に掲載される販売価格は、あくまでも売主の希望価格であり、実際の成立価格とは異なる場合があります。また、個別要因(方位・道路条件・字型・心理的要因そして経済状況等)が、取引に大きく影響します。

一般の消費者が取引を行う時に、重要なのは、(5)市場価格ですが、通常の取引においては、売主は「少しでも高く」買主は「少しでも安く」と考えます。よって、最初から売主の希望価格と買主の希望価格が合致することはありません。一般的には高めの価格から、売主買主が歩み寄れる価格を探っていくことになります。

一般的に、売却活動に入ると相場の上限から活動を始め、反響に応じて徐々に価格を下げていくことが多いからです。

その方法を事前に依頼者に伝えず、あたかも相場の上限で売却できるかのような錯覚を与えて、売却業務を受託する仲介専門業者も多く存在しますので注意が必要です。

相続の分割協議を行うときなどは、弊社の買取保証付き査定はとても感謝されます。通常、相続不動産の分割協議は、不動産の実勢価格を基に協議を行うのですが、通常利用される仲介業者の査定ですと、査定価格で100%売却できるとは限りません。上記のように査定価格よりも下がる可能性が高いの です。

また、税理士が不動産価格を算出すると、税法に則った価格となります。弁護士は不動産の価格を算出することはできず、仲介専門の業者に上記のような査定を依頼することが殆どです。ですから、売却価格が目安でなく、確定しているということは、検討や協議を行うのにとても有効な手段として活用していただいています。(コンサルティングを受託した時のみの査定となります)