12_13_生産緑地問題

「2022 年問題」ともいわれる不動産市場における大きな懸念課題です。

  「生産緑地」とは以下のような土地です。

『市街化区域内の土地のうち、将来に渡り農地又は緑地として、残すべき土地を自治体が指定された土地 又は森林で、市街化区域内の農地の宅地転用を促す目的で、大都市圏の一部自治体においては、市街化区 域内の農地について、固定資産税及び相続税の課税が、宅地並みに引き上げられたが、一定の要件を満た すことを条件に、固定資産税や相続税の評価を農地並みにすることができる。』

指定要件は次の通りです。

(1)市街化区域にある一団の農地で面積が、500 m²以上の規模であること (2)良好な生活環境機能の保全及び公園などの公共施設の用地として適していること (3)農業の継続が可能なこと (4)当該農地の所有権者及びその他の権利者の同意を得ていること

この生産緑地制度は、1991 年に制定されました。制定された背景として、当時は平成バブル最盛期であり、農 地を宅地並みに課税される農業が立ち行かなくなるという問題が生じ、上記の要件を満たしていることで、市街 化区域内に於いても、農業を営むことができるようにしたと言われております。 特にその効果が大きかったのが、相続税です。相続税が納税猶予となるため、市街化区域内の多くの農業従事者 は、生産緑地を選択しました。

しかし、制定から 25 年が経過し農業の従事者も高齢になり、継承者も減少していることから、生産緑地の解除 要件(生産緑地指定後 30 年経過)となる、2022 年に多くの生産緑地が解除され、宅地として供給されること が予想されています。

生産緑地の現状

国土交通省「都市計画現状調査」によれば、生産緑地は全国で約 13,600 haあり、
50 坪の土地が約 8,200,000 区画です。東京都内は、約 3,300 ha、同 201,400 区画となります。

現在の住宅事情は、空き家・空き地問題が盛んになっています。全国で 13.5%が空き家です。その原因は少子 高齢化と都心部の一極集中であると考えられますが、そのような状況のなかで、東京都内だけでも、20 万区画 の土地があらたに供給される可能性があり、仮に、10%としても 50 坪の土地が 2 万区画新規供給されることに なるため、不動産市場では大きな不安材料となっています。

生産緑地の解除要件

(1)生産緑地指定後 30 年経過したとき

(2)主たる従事者が死亡したとき

(3)主たる従事者が病気
ケガ等で農業に従事できなくなったとき

左記のいずれかの場合について、生産緑地の解除手続きに入ることができる。

1 市長に対して買取申し出を行う

2 農業委員会に農地法 3 条資格者に対する買取 あっせんを申し出る

3 これら上記の買取希望者がない場合 生産緑地は解除される

4 農地転用手続きを行う