難あり不動産(負動産)とは、
通常の不動産よりも流通性が劣り、換金することが困難な不動産のことです。

負動産を大別すると、図1のとおり(1)社会的背景 (2)個別的背景と二つに分類され、   (2)は、㈰法令・物的・資金要因と、㈪人的要因の二つのカテゴリーに分類されます。

(1)社会的背景について

社会的背景については、残念ながら弊社では対応できないことが殆どです。これは、少子高齢化や経済市場の影響などの要因を民間一企業が改善させるには到底無理があるからです。

例えば、地方の田畑の売買などは、当該地行政が、農地等に関する規制を変更しなければ対応できません。また、農業需要を改善させるのも、行政や地域社会の活動に起因するからです。

ですから、地方の山奥の山林や畑を売却したい。ということなどは弊社では原則対応できません。 また、リゾート物件や別荘用地などは、仮に処分できたとしても、換金できず、別途費用が生じる可能性があることが前提です。(無料で引き取ってもらう、又は費用を負担して引き取ってもらう。)

(2)個別的背景について

個別的背景は弊社に限らずコンサルタントが対応できる可能性が高まります。

(1)法令・物的・資金要因は、企画や手法によって改善する余地があります。これらは、一定の知識や創造力があれば、通常のコンサルタントによって改善できます。

例えば、空き家の活用として、シェアハウス企画や、民泊企画で改善する方法です。資金要因であれば、資金の調達方法の改善やローコストな手法を考える事です。注意点は、「建築ありき」の企画には注意が必要です。建物を建てたい。設計をしたい。賃貸管理をしたい。という企画者の営業上の意図が企画に含まれている時があるからです。不動産は、長期間に渡って運用することになりますので、収益が見込まれるものでなければなりません。

(2)人的要因は、対応する人によってその結果が大きく異なります。なぜなら、人間同士の感情の縺れや利害関係を要因としているので、人間同士のコミュニケーション能力が重要となるからです。どれだけ論理的合理的な提案をしても、関わる人が感情を逆なでするような言葉や態度では纏まることはありません。実は、この能力は知識や理論だけのコンサルタントでは対応しきれないことがポイントです。

そして、㈪人的要因は、A‐家族要件とB‐他者要件に分類されます。 A‐家族要件は「相続」と「離婚」という家族関係の出来事に起因する悩みです。次に、B‐他者要件は「貸主・借主」と「近隣関係」という他者との関係性が起因する悩みです。

家族要件、他者要件のどちらについても、短期的に問題が生じたのではなく、過去の経緯が大きく影響しています。どのような経緯があって、現状の問題に繋がっているのかを、丁寧にひも解いていかなければ、解消できません。

とはいえ、当事者が直接話し合うことは、利害関係が相反し、客観性が持てなくなることや、感情が先立つこともあるので、第三者が緩衝材となって対応するほうが効果的ですが、第三者といって、いきなり弁護士が介入するよりは、不動産におけることは不動産コンサルタントが対応するほうが、一般社会では馴染むのではないでしょうか。

具体的には、居ぬき物件を空物件にするために、入居者へ転居を働きかけることや、貸地借地の取り扱いなどの不動産権利調整や、家族内で遺産分割協議を行う時の会議取りまとめ(ファシリテーターページ参照)業務です。

個別的背景の中でも、人的要因まで絡まった複雑な案件の改善は、弊社の最も得意とする分野です。

以上のように、「負動産」という大きな枠では同じであっても、その要因によって対応が異なりますので、注意が必要で、相談する相手を間違えると、問題がさらに悪化します。